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お知らせ

2018/02/10

今、考えるべき相続「今後の未来」を考える

 相続や遺言により受け継いだ相続財産に、比例して課税される「相続税」。相続税と聞くと、富裕層の方だけが考える問題だと思われがちですが、近年では税制改正に伴い、貯蓄や資産がそれほど多くはない一般家庭でも、予想外の相続税がかかってしまうケースが多く見受けられます。今回は相続税の節税方法を 4つのケースを通して説明いたします。

Ⅰ.小規模宅地による減税

被相続人の居住用に供されていた土地を相続した際、評価額を80%減額できるものです。この規定は①被相続人の配偶者が土地を相続した場合 ②被相続人と同居していた親族が土地を相続した場合 ③被相続人に配偶者も同居人もいない場合で、かつ3年以上持家に住んでいない親族が土地を取得した場合 といった3つの条件のうち、いずれかに該当する場合のみ受けられます。また、相続人の個人事業の用に供されていた土地や、他に貸し付けていた土地については、一定の要件、限度のもと50%又は80%を減額することができます。相続財産のうちに大きな割合を占める土地については、この特例を使えるか否かで相続税額を大きく左右するので、あらかじめ自分が、この要件に該当するか確認しておくとよいでしょう。

Ⅱ.生命保険

多額の現預金を所有している場合に相続が発生すると、その現預金にそのまま相続税が課税されてしまいます。そこで生命保険に加入しておけば被相続人が死亡した際に支払われる生命保険金(被相続人が保険料の全額を負担していたもの)については500万円に法定相続人の数を乗じた金額までは非課税とされる制度があります。全て現預金として手許においておくよりも生命保険に加入しておくことが、税負担軽減に繋がるといえます。また、相続が発生した場合、預金は遺産分割の対象となるため、口座を凍結されて、分割の手続きが終わるまで自由に引き出せなくなってしまいますが、生命保険金は保険金の請求手続きによって速やかに支払われるため、相続後の生活資金、納税資金に充てることができます。

Ⅲ.生前贈与

①基礎控除以下の暦年贈与・・・相続税対策として生前の贈与によって財産を移転していく方法があります。比較的知られているものは、110万円までの贈与税の基礎控除です。贈与税は年間110万円以上の贈与を受ける場合、その110万円を超える部分の金額について課税されますが、110万円までは贈与税が課されなく、財産を移転することができます。年間110万円でも10年贈与し続ければ、1100万円分の財産を移転させることができます。

②住宅取得資金の贈与・・・自己の居住の用に供する住宅を取得するにあたり、父母又は祖父母から資金援助を受けた場合、700万円(一定の省エネ等住宅については1200万円)までは贈与税を課税しないという特例があります。子や孫への財産の移転の方法として有効ですが、将来親が住んでいた自宅を相続した際、持ち家を持っている場合には、小規模宅地等の特例を受けられなくなる可能性があるので注意が必要です。

③相続時精算課税・・・先述のとおり贈与税の基礎控除として年間110万円までは贈与税が課されませんが、相続時精算課税制度を適用すると、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与については2500万円までは贈与税が課されません。この制度を適用すると一生の累積で2500万円を超える部分の贈与については一律で20%の贈与税が課されてしまいますが、通常一括で2500万円の贈与を受けた場合には45%の税率で贈与税が計算されてしまうため、この制度の適用を受けた方が贈与税を少なく抑えることができます。また、早期に多額の財産を贈与することができるので、賃貸用のマンション等の収益物件を多数所有している場合には、贈与後の賃貸収入は贈与を受けた人の財産となるため相続財産の増加を防ぐことができますし、収益物件は分散して所有することで所得税率を低く抑えることができます。

Ⅳ.相続人を増やすことによる相続対策

 相続税の計算をする際、正味の遺産総額から基礎控除額を差し引いたものが課税遺産総額となります。この基礎控除額の計算方法は3000万円と600万円に法定相続人の数を乗じて計算した合計金額になります。よって法定相続人が1人増えるごとに600万円の基礎控除額を増やすことができます。相続税の計算については、先ほどの課税遺産総額を法定相続分で按分し、按分後の金額(法定相続分に応ずる取得金額)に応じてそれぞれ10%から55%の税率で計算されますが、相続人が多いほど、法定相続分に応ずる取得金額を低くすることができ、低い税率で税額を計算することができると考えられます。さらに生命保険金の非課税金額は500万円に法定相続人の数を乗じた金額とされているため、相続人が増えるごとに非課税枠も増えます。相続人を増やす方法として、養子縁組があります。しかし、相続税の計算時には養子の数の制限や、相続人が増えることで円滑な遺産分割を妨げることにもなりかねないので注意が必要です。