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内縁配偶者の権利-NEWS&TOPICS-

お知らせ

2019/07/05

被相続人の配偶者は常に相続人になります。この配偶者は所定の婚姻届出を済ませている人を指しますので、内縁配偶者には相続権がありません。また財産分与の規定の類推も否定されています。そこで内縁配偶者の保護が問題となります。

Q:妻子のない人が死亡した場合に内縁関係にあった女性に相続権はあるのでしょうか?
A:
配偶者が常に相続権が認められている根拠として、名義上は被相続人の単独の権利者となっていた場合でも、生存配偶者がその財産の取得や維持に協力していることが多いため婚姻中の財産の清算をするという点や、生存配偶者の扶養ないし生活保障という点が挙げられます。内縁配偶者についてもこれらの貢献度がある場合が多く、被相続人亡き後の扶養ないし生活保護に必要があるという点では法律上の婚姻関係のある配偶者と同じ立場といえます。しかし法律上の相続権はありません。

Q:内縁配偶者は財産分与を請求できるのでしょうか?
A:
この場合、内縁の当事者の生存中に内縁関係が解消した場合には、離婚の際の財産分与の規定(民法768条)が類推適用されると解されており、判例においても内縁関係が離別により解消した場合に準婚的法律関係の保護に適するとして財産分与の規定の類推適用の合理性を承認しています。(最決平12.3.10)
しかし内縁配偶者の死亡の場合には、離別による財産分与の類推ではなく、相続で処理をするという考え方が有力です。最高裁判決平成12.3.10において「内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法768条の規定を類推適用することはできないと解するのが相当である」という判決が出たことで明確になりました。
したがって、死亡した者の内縁配偶者は財産分与の規定を類推適用することでの請求はできません。

Q:内縁配偶者は特別縁故者として遺産を取得する余地がありますか?
A:
内縁配偶者は、死亡した人に相続人がいない場合には「被相続人と生計を同じくしていた者」として財産分与を申し立てることができます。被相続人に相続人がいないことが確定した時点で申立てができます。また特別縁故者への財産分与は家庭裁判所の裁量の上で成り立っていますので、内縁配偶者に財産分与を認めるか、認めるとしてどの程度の分与を認めるかは裁判所の裁量となります。

Q:内縁配偶者は共有持分権を主張して遺産を取得する余地がありますか?
A:
例えば、内縁の夫婦が共同で経営する家業の収益をもって不動産を購入し、その登記名義人が内縁の夫となっている事案において、「正式の婚姻関係であると、内縁関係であるとを問わず、妻が家事に専従しその労働をもって夫婦の共同に寄与している場合と異なり、夫婦が共同して家業を経営し、その収益から夫婦の共同生活の経済的基礎を構成する財産として不動産を購入した場合には、たとえその登記簿上の所有名義を夫にしていたとしても、夫婦間でこれを夫の特有財産とする旨の特段の合意がない以上、夫婦の共有財産として同人らに帰属すると解するのを相当」と判事して内縁の妻に2分の1の共有持分権を認めた判例があります。(大阪高判昭57.11.3)個別の判断になりますが、実態をみてこのような判断がされる余地はありそうです。
内縁配偶者は相続権を持ちませんが、遺言により包括遺贈、特定遺贈をすることができます。また特定の財産について、死因贈与契約を締結することにより財産を承継させることができます。