お知らせNEWS&TOPICS
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Q:死亡事故の損害賠償請求権・慰謝料は相続の対象になりますか?
A:
被害者が死亡しているため、生存していれば得られたであろう利益について賠償請求権を主張できるか問題になります。死亡事故で当事者がいない場合も請求権が被害者に帰属し、相続人がこれを相続することになります。手続きは相続人が被害者に代わって行うことになります。
事故後、直ちに亡くなった場合は民法上はこれを相続財産としますが、相続税の課税とはならず、遺族の所得となります。所得税は損害賠償金は原則として非課税とされています。
被害者が事故後、損害賠償請求を自ら行い、加害者との間で訴訟となり、結審する前に亡くなった場合は、民法上の相続財産となり、相続税の対象になる可能性があります。財産評価基本通達に訴訟中の権利の評価方法として「訴訟中の権利の価額は、課税時期の現況により係争関係の真相を調査し、訴訟進行の状況をも斟酌して原告と被告との主張を公平に判断して適正に評価する。」と定められています。
判決や和解などにより、賠償金が確定した後に被害者が亡くなった場合には、貸付金等と同様、債権として相続税の課税対象となる財産に含めます。
Q:扶養請求権は相続の対象になりますか?
A:
扶養請求権は、要扶養者の生活を支えるための権利ですから、要扶養者が死亡すれば要扶養状態が消滅し権利も消滅します。その理からすれば、仮に調停、審判により具体的内容が確定している場合であっても扶養請求権は消滅することになります。
ただし、調停や協議、審判により具体的内容が確定している場合で、既に履行期が到来して個別的債権として発生しているときは、通常の債権として相続の対象となると考えられます。
Q:離縁請求権、認知無効確認請求権は相続の対象になりますか?
A:
いずれも相続の対象になりません。
離縁請求権については過去判例で、養親である上告人が養子である被上告人らに対し離縁を請求した事案で、「上告人は、本訴が当審係属後に死亡するに至ったことが明らかであるところ、本件離縁請求権は請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象となりえないものと解するのが相当であり、かつ請求者死亡の場合における訴訟承継に関する特別の規定も存しないこと等に鑑みると、本訴は、上告人の死亡と同時に終了したものといわなければならない。」と判示しました。
また認知無効確認請求権については、過去判例で、父が摘出でない子を相手方として提起した認知無効確認請求訴訟において、前者と同様の理由で上告人の死亡と同時に訴訟は終了すると判示しています。
Q:財産分与請求権は相続の対象となりますか?
A:
過去判例では、財産分与請求権は、その請求をするか否かは権利者の意思のみによって決せられるものであるので、離婚当事者の一身相続権というべきであり、当事者の死亡によって当然に消滅するものであるとした上で、既に財産分与請求の意思を表示し、調停または協議の成立などを経て具体的な一定の金銭または財物の給付請求権を取得するに至ったときは、その具体的な債権は普通の財産権として相続されるとしています。
財産分与請求権の内容には、通常、清算・扶養・慰謝料の3つの要素が含まれます。相続開始後に財産分与額を決める場合、どのような考え方をするのでしょうか。
まず清算的要素には、夫婦の共有財産の清算ですから相続性があります。また慰謝料的要素についても相続性を肯定できます。これに対し、扶養的要素については、扶養請求権が一身専属的権利であることからすると、これを除いて分与額が決定されるものと考えられます。
Q:特別縁故者の財産分与請求権は相続の対象になりますか?
A:
財産分与の申立てを行った者が死亡した場合、その相続人は原則として特別縁故者の地位を承継し、財産分与を受けることができると解されます。
Q:生活保護受給権は相続の対象になりますか?
A:
過去判例は生活保護を受けるのは、国が恩恵で与える反射的利益ではなく、生活保護受給権というべき法的な権利であるとしましたが、この権利は被保護者の最低限度の生活の維持をするためにその個人に与えられた一身専属的権利であるから、これを他に譲渡しえないし、相続の対象にもなりえないとしています。また被保護者の生存中の扶助で既に遅滞にあるものの給付を求める権利についても、医療扶助の場合はもちろんのこと、金銭給付を内容とする生活扶助の場合でも、それはその被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであって、法の予定する目的以外に流用することを許さないものであるから、当該保護者の死亡によって当然消滅し、相続の対象になりえないと判示しています。