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感染症の流行で気になる医療費・税額控除制度の理解と活用促す
確定申告の方法も変化 スイッチ医療品も対象
世界を不安に陥れた新型コロナウイルス感染症。医療機関では似た症状を懸念して検査を受けたり、感染すれば重体化するとされる持病持ちの人が治療を強めたりするケースが増えたと言われるが、病気で気になるのは医療費だ。『薬袋税理士事務所』の所長薬袋正司さんは、一定額以上の医療費を支払った場合には、税額や医療費負担が軽くなる医療費控除制度や高額療養費制度を知り、活用するよう促す。
◇医療費控除制度◇
自己又は自己と生計を同じにする配偶者、その他親族のために1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告の際に医療費控除を受けることができ、所得税を少なくすることができます。給与や年金から既に所得税を天引きされている場合には、医療費控除により、還付を受けることができます。対象となる金額は、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補てんされる金額と10万円を引いた金額で最高200万円までです。確定申告書を提出する義務のない人は、翌年1月1日から5年間、還付申告することができます。医療費控除の対象となる医療費は、病院で支払う費用だけではなく、通院の交通費、薬局で買った薬代、寝たきりの方のおむつ代など幅広く認められています。一方、保険金などで補てんされる金額には、医療保険金、入院費給付金、傷害費用保険金、出産費、配偶者出産費、高額療養費、高額介護合算療養費などが該当します。確定申告での医療費控除の申告方法は、平成29年度分の申告から改正され、領収書は添付せず、手元で5年間保管するということになりました。領収書に代わって健康保険組合から送付される医療費通知を添付することもできます。
◇セルフメディケーション税制◇
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例で2017年1月から始まった制度です。健康診断や予防接種など健康の保持増進、疾病の予防として一定の取組みを行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12000円以上の対象医薬品を購入した場合には確定申告を行うことにより、12000円を超えた額をその年分の総所得金額等から控除できる制度です。上限は88000円です。対象となる医薬品は、医療用医薬品から薬局などで購入できる医薬品に転用されたスイッチOTC医薬品とされています。
◇高額療養費制度◇
高額療養費制度は、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、年齢や所得状況などによって設定された自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される制度です。払い戻しは医療機関から提出される診療報酬明細書の審査を経て行いますので、診療月から3ヶ月以上かかります。医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、予め限度額適用認定証の交付を受け、支払時に医療機関に提示する方法が便利です。こうすることで医療機関ごとの一月あたりの窓口での支払金額が自己負担限度額までになるので、一時的に多額の医療費を立て替える必要もなくなります。自己負担限度額を超えた分が払い戻された場合には、確定申告時に医療費の補てんとして明細書に記載する必要があります。