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お知らせ

2019/05/20

後継者不足など課題山積?個人事業の承継

加速する高齢化は個人事業でも顕著

個人事業者が事業承継をする方法には他人への事業譲渡や、親族への相続、贈与によって引き継ぐ方法がありますが、個人事業者が事業承継した際の税制上の優遇措置には、事業用の宅地を相続した場合に評価額を80%減額できる小規模宅地等の特例しかなく、建物や機械装置等の事業用資産には適用できない、また、贈与時には利用できないといった制約がありました。

そこで、平成31年度税制改正大綱に基づいてスタートした個人事業者の事業承継に係る新税制は、こうした個人事業者が置かれた厳しい状況に目を向け、次世代へ早期に円滑な事業承継を促すために創設されました。

法人版事業承継税制

中小企業の場合には会社の経営者がオーナーであるケースが多くあります。この場合には経営者である代表取締役の変更だけでは事業承継したことになりません。会社の株式等も後継者に譲る必要があります。ただし、後継者が相続又は贈与によって株式等を取得した場合には相続税又は贈与税が生じます。

非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継制度)では、後継者である受贈者・相続人等が円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定要件のもとその納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税が免除されることになります。平成30年度の税制改正で納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)等がされたことで、それまでは相続の場合には総株式数の3分の2の80%つまり全体の53%しか納税猶予を受けることができませんでしたが、改正によって100%猶予を受けることができるようになりました。

納税猶予の適用を受けた非上場株式等の一部を譲渡した場合や、後継者が会社の代表権を有し亡くなった場合などの何らかの事情で納税猶予が取り消された場合には、猶予税額と利子税の納付が必要になります。納税猶予はメリットの大きい制度ですが、取り消された場合のリスクも大きいので注意が必要です。特に贈与の場合は、取り消しによって暦年課税による高額な贈与税負担が必要になる場合があります。そこで、納税猶予と併せて相続時精算課税制度を利用してリスクを抑えておくことも検討しておきましょう。納税猶予と相続時精算課税制度は併用することができ、かつ、後継者が贈与者の推定相続人以外の者であっても相続時精算課税の適用を受けることができます。1億円の非上場株式等の贈与について納税猶予が取り消された場合には、暦年課税によると焼く4,800万円もの贈与税を負担しなければなりません。しかし、相続時精算課税を併用しておけば取り消し時に1,500万円の贈与税負担と相続発生時には贈与を受けた1億円の非上場株式等が相続財産に加えられますが、納めた1,500万円の贈与税は相続税から精算されることになります。

個人版事業承継税制

 個人事業の場合には事業を承継する際に代表取締役等の変更や株式の移転はありませんが、後継者が機械装置等の事業用資産を引き継ぐことになります。これらの事業用資産も相続又は贈与によって取得した場合には相続税又は贈与税の対象になります。

 新たに創設された個人版事業承継税制では、後継者である受贈者・相続人等が被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供されていた土地(400㎡までの部分に限る)、建物(床面積800㎡までの部分に限る)及び建物以外の一定の減価償却資産で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものもの(以下「特定事業用資産」という)を贈与又は相続により取得し、円滑化法の認定を受けた場合には、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税について、一定要件のもと納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税が免除されることになります。

 個人版事業承継税制を受ける場合には、平成31年4月1日から令和6年3月31日までの間に認定経営革新等支援機構により所見等の記載のある承継計画を都道府県に提出し、贈与を受けた年の翌年1月15日又は相続開始の日の翌日から8ヶ月以内に認定申請をします。その認定書の写しとともに贈与税又は相続税の申告をすることになります。また、申告後も3年に1回税務署に「継続届出書」を提出しなければなりません。