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第1 配偶者の居住権を保護するための方策
1. 配偶者の短期居住権の新設(新民法1037条~1041条関係)
配偶者が相続開始の時に遺産に属する建物に居住していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその居住建物を使用できるようにする。
2. 配偶者居住権の新設(新民法1028条〜1036条関係)
配偶者の居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を創設し、遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができるようにする。
第2 遺産分割等に関する見直し
1. 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定。新民法903条4項関係)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈又は贈与がされたときは、持戻しの免除の意思表示があったものと推定し、被相続人の意思を尊重した遺産分割ができるようにする。
2. 遺産分割前の払戻し制度の創設等(新民法909条の2関係)
相続された預貯金債権について、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度を創設する。
3. 遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲(新民法906条の2関係)
相続開始後に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合に、計算上生ずる不公平を是正する方策を設ける。
第3 遺言制度に関する見直し
1. 自筆証書遺言の方式緩和(新民法968条関係)
自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できるようにする。
2.遺言執行者の権限の明確化(新民法1007条,1012条〜1016条関係)
3.公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法)
第4 遺留分制度に関する見直し
遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行の規律を見直し、遺留分権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭偵権が生ずるものとしつつ、受遺者等の請求により、金銭債務の全部又は一部の支払につき裁判所が期限を許与することができるようにする(新民法1042条〜1049条関係)。
第5 相続の効力等に関する見直し
相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件を備えなければ第三者に対抗することがでぎないようにする(新民法899条の2関係)。
第6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求をすることができる制度(特別の寄与)を創設する(新民法1050条関係)。
特別の寄与の制度創設に伴い、家庭裁判所における手続規定(管轄等)を設ける(新家事事件手続法216条の2〜216条の5関係)。
施行期日:2019年7月1日(原則)
ただし、第3の1:2019年1月13日/第1:2020年4月1日/第3の3:2020年7月10日