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お知らせ

2019/07/11

配偶者の老後に役立つ相続税の「配偶者居住権」

所有者が亡くなった家は「配偶者居住権」で回避

夫婦ともども長生きすることが理想ですね。でもいずれかが先に亡くなるということは避けられません。例えば、今お住いのご自宅について、その所有者である夫が亡くなってしまった場合に、妻がその自宅を問題なく相続すればそのまま住み続けることができます。しかし、他の相続人に支払う代償金がないために自宅を相続できず長年住み慣れた自宅を手放すことになってしまった、また、相続財産の大部分を占める自宅を相続したことで預貯金を相続することができず老後の生活費が足りなくなってしまった、という問題が生じていました。そこで、配偶者の住む家を守り、老後の生活費を確保することで安心して暮らし続けることができるように「配偶者居住権」が創設されました。この「配偶者居住権」は2020年4月1日からの施行になります。

「配偶者居住権」の範囲

「配偶者居住権」とは個人の配偶者がその個人の所有していた建物に居住していた場合には、その建物を相続によって取得しなくても無償で使用し続けることができる権利で、範囲はその建物の全部について及ぶものとされています。たとえば2階建ての建物で1階が店舗で2階が自宅だったとしましょう。この場合、「配偶者居住権」の対象は建物全体なので今まで住んでいた2階部分以外に店舗として使用していた1階部分も使用し続けることができるのです。ただし建物の所有者が亡くなる前の使用方法と同じか居住用として使うものとされており、1階は店舗又は居住用、2階は居住用として使うこととなります。また、「配偶者居住権」は配偶者のみに与えられている権利なので譲渡することはできません。

「配偶者居住権」の活用

「配偶者居住権」を活用するとどのようなメリットがあるのかみていきましょう。配偶者居住権の評価は具体的には今後通達等で定められてくると思いますが、イメージで説明すると、不動産には「所有権」という権利は、その不動産を「使う(住む)権利」と、その不動産を売却した時に売却代金をもらう権利などの「その他の権利」の2つがセットになって構成されています。配偶者居住権という仕組みは、所有権という権利を「使う(住む)権利」と「その他の権利」に分離して別々の人が相続することを認める仕組みです。配偶者には「使う(住む)権利」を、その他の相続人には「その他の権利」を相続させることが可能です。所有権も2つに分けることにより、本来自宅をそのままの評価額で相続するところを、より低い評価額で相続できることになるのです。例えば、自宅の所有者が亡くなり、相続人は配偶者と子供2人で、相続財産は自宅3,000蔓延(配偶者居住権2,000万とその他の権利1,000万円)と預金3,000万円だったとします。法定相続分で分割すると配偶者の相続分は2分の1の3,000万円なので自宅をそのまま相続したら預金は相続することができません。しかし「配偶者居住権」を活用すると「配偶者居住権」2,000万円のほかに1,000万円の預金を受け取ることもできます。「配偶者居住権」は自宅をそのまま相続するよりも低い評価額で相続できるため自宅に住み続けながら老後の生活費となる預金も相続することができるのです。もちろん被相続人が預金を持っていればという前提ではありますが。

「配偶者居住権」の取得方法

次に「配偶者居住権」の取得方法についてですが、施行になったからと言って自然に生じる権利ではありません。配偶者に「配偶者居住権」を取得させたいのならば、遺言を残しておきましょう。遺言がない場合でも「配偶者居住権」を取得することが可能ですが、その場合には遺産分割協議による相続人全員の合意又は家庭裁判所の審判を受けて取得することになります。「配偶者居住権」は施行前ということもありまだその取扱いが未確定な部分んも多いのですが、配偶者の選択肢が広がることに変わりありません。どのようにしたら遺された遺族の生活を守っていけるのかというテーマは夫婦ともに元気なうちに考えておくことが大切です。当事務所でも相続対策として遺言書の作成や生前贈与、生命保険や不動産の活用などのお手伝いはできますが、まずはご夫婦ご家族でお互いの考えや気持ちを話し合ってみてはいかがでしょうか。