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お知らせ

2020/02/10

災害による被害は控除対象

◇災害や盗難・横領などで資産に損害を受けたとき◇

所得税法では、納税者の最低限の生活の保障をするため、個人的な事情を考慮して、所得から一定額を差し引くことができる制度(所得控除)を設けています。その一つに「雑損控除」があるのです。この「雑損控除」とは、①自然現象の異変による災害(震災、風水害、冷害、落雷など)②人為による異常な災害(火災、火薬類の爆発)③生物による異常な災害(害虫など)④盗難⑤横領などの災害にあった場合、一定の金額の所得控除を受けることができることをいいます。一見「盗難や横領」と「詐欺や恐喝」などは同じように見えますが、後者による被害は対象外になります。なぜかといいますと「盗難や横領」は、被害者本人の知らないところで行われたものであって、「詐欺や恐喝」は、直接被害者本人が関与しているからなのです。そこに『本人の意思』があるかないか、ということで差異が出てきてしまうのです。

では実際に災害等で損害が出た場合、どれぐらいの控除が受けられるのか算出してみましょう。まず雑損控除を算出するために必要なことは「差引損失額」を計算しなければなりません。これは実際に災害等によって発生した「損害金額」と「災害等に関連したやむを得ない支出」の合計金額から、「保険金により補填される金額」を差し引いて算出します。「損害金額」は、損害を受けたときの資産の時価をもとに計算しますが、建物などの減価償却資産の場合には「取得価額」-「減価償却」×被害割合で計算します。「やむを得ない支出」は、被害に遭った住宅や家財の取り壊しや撤去等の費用、また資産の原状回復に費やした金額をいいます。このようにして「差引損失額」が出たところで、雑損控除の控除額を算出してみましょう。その方法は二つあります。①「差引損失額」-「総所得金額等」×10% ②「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」-5万円 この二つの計算式で出た多い方の金額が「雑損控除額」として認定されるのです。ここで、控除額が大きくて、その年の所得金額を超えてしまうことも考えられますが、その場合は、翌年以降3年間を限度に、繰り越して控除を受けることができますので心配いりません。「雑損控除」は他の所得控除よりも優先に控除することになっています。

さて、ここまでは「雑損控除」についての説明ですが、もう一つ「災害減免法による所得税の軽減免除」という制度があり、こちらの適用を受けることができるのです。適用の要件は、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人で災害にあった場合、「雑損控除」と「災害減免法による所得税の軽減免除」の2つのうちから有利な方を選ぶことが可能です。1,000万円を超える年間所得の人は「雑損控除」しか利用できません。また、「盗難や横領」により資産の損失が起きた場合に適用できるのも「雑損控除」だけです。「災害減免法による所得税の軽減免除額」は、その年の所得金額の合計額が500万円以下の場合は所得税の全額免除となります。同じく、その年の所得金額が500~750万円以下の場合は所得税は2分の1に軽減され、同じくその年の所得金額が750~1,000万円以下の場合は所得税は4分の1の軽減となります。ですから災害等に遭った場合「雑損控除」の方が節税になるのか、はたまた「災害減免法による所得税の軽減免除」の方が節税になるのか、それぞれの所得やその他の所得控除等を考慮し、試算してみるべきですね。さて、実際に火災等の被害に遭った場合、どのように「雑損控除」を受ける手続きをすればいいのかといいますと、まず確定申告書の「雑損控除」に関する事項欄に記載します。そして火災の場合は消防署、盗難の場合は警察に行って、それぞれが発行する被害額届出用の証明書に必要事項を記入して、災害等に関連して支出した金額の領収書を添付します。給与所得のある人は、給与所得の源泉徴収票を申告書に添付します。確定申告書第二表の「⑩雑損所得」の欄に、損害の原因などを記入します。そしてさきほどの二つの計算式で算出した「控除金額」の多い方を選んで記載します。「災害減免法による所得税の軽減免除」を受ける場合の手続きは、損失額の明細書が必要になります。そして給与所得者は、勤務先に「源泉所得税の徴収猶予・還付申請書」を提出すれば、災害のあった日からその年の12月31日までの給与の支払いのときに所得税の徴収猶予を受けることができます。