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2021/10/25

親族間で揉めやすい故人の不動産相続

割り切れない資産はトラブルのもと

ご家族が亡くなった後におこなう相続手続きは、一朝一夕にはいかない厄介な作業です。中でもあらゆる点において難易度が高いのが、不動産です。まずは対象物件の登記簿謄本を調べ、不動産の所有者を特定するのですが「故人名義ではなかった」なんてことも・・・。不動産登記簿上の名義の書き換えは法律で義務付けられていないため、先代から不動産を譲り受けた際に、そのまま書き換えせずに放置しているパターンもあるのです。故人の先代名義のままだった場合、その不動産を故人のものとするために、先代の現在の相続人(先代の相続人、またはその代襲相続人)で遺産分割協議が必要です。

また、貯金のように割り切れる財産のみでしたらそこまで心配する必要はありませんが、不動産はすぐに分けることができない資産であるということもトラブル発生が多い理由といえます。例えば故人の財産が貯金と不動産のみで、貯蓄額よりも不動産時価が高かった場合など、相続人が複数いるとしたら単純計算して平等に分けることができません。売却する手段も検討できますが、その土地を守りたい相続人がいたり、不動産の評価方法で意見が分かれたり、郊外で売却が上手くいかなかったり・・・とすんなり話が進まないケースも多々あります。そもそも平等の概念が人によって異なるかもしれません。例えば親の介護のために同居していた方などは今までの気苦労を精算するために「土地や家の価値の方が高くても自身が継ぐべきだ」とお考えていることもあります。また、二世帯住宅で親と半同居してきた方は、同じ土地に住んでいたことから親世帯の家も自動的に自身の財産になるだろうと捉えていることもあります。そういったトラブルを避けるために、まだ人生を謳歌している最中でも、遺言書は早めに準備しておくにこしたことはありません。

膨大な書類を集めて審査を受けてやっと相続できる

さて、不動産相続についてい話がまとまったら、ここからまた山が待ち構えています。書類を揃えていくという面倒な作業です。不動産相続には①法律で定められた割合(法定相続分)の通りに相続するケース、②遺産分割協議書の通りに相続するケース、③遺言書の通りに相続するケースの3パターンがあり、それぞれ準備する書類が異なります。いずれの場合も必要となるのが法務局のホームぺージでダウンロードできる登記申請書なのですが、これも各ケースによって書式が異なるのでご注意ください。①の場合、その登記申請書の他に必要となるのが。故人の出生から死亡までの戸籍一式、相続人全員の現在の戸籍、不動産の名義人になる相続人の住民票、そして最新年度の固定資産評価証明書の4点。②ではそれらに加え、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が必要となります。③は遺言書、登記申請書、被相続人の死亡の記載がある戸籍、不動産の名義人になる相続人の現在の戸籍と住民票、固定資産税評価証明書が必要となります。どのケースであれどその後の流れは一緒。書類一式を揃えたらいよいよ相続登記です。申請場所は不動産の所在地を管轄する法務局で、窓口、郵送、オンラインと3種類の方法で申請できます。書類漏れがないかなど不安事項があるのならば、窓口で提出する方が良いでしょう。申請後は、約1~2週間程度の審査期間を経て、完了書類「登記識別情報通知」「登記完了書」「原本還付の依頼をしていた書類」が交付されます。この先、不動産を売ったり譲ったりする時にはこの「登記情報通知」を使うことになるので大切に保管するようにしましょう。不動産相続の手続きは、やろうと思えば自分でできます。ただし、平日に役所や法務局に何度も足を運ばなくてはいけなかったり、情報収集や書類作成が大変だったりと、時間も労力もかなりかかります。なので手数料は発生しますが、専門的な知識を持つ司法書士さんにお願いする方がよいかと思います。